菜実(なみ)熟女図鑑 徳島素人版
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そしてイサカロスト期もやってきたをハルキ風に(笑)
26/06/05 12:35|コメント:0件
ある朝、私は気がついた。 長いあいだ親しく付き合ってきたものたちが、まるで約束の時間を過ぎた恋人みたいに、静かに遠ざかっていることに。 まず村上春樹が読めなくなった。ページを開いても言葉は私の中を素通りしていった。 そのあとには伊坂幸太郎も続いた。 それは少しまずいことのように思えた。 村上春樹もだめで、伊坂幸太郎もだめなら、もしかすると私は読書そのものを失ってしまったのではないか。 そんなことを考えながら、庭の隅にある古井戸を眺めていた。猫がその縁に座り、何かを待つように尻尾を揺らしている。 どこかでカッコウが鳴いた。 カッコウは季節を知らせる鳥だけれど、その日私には少し違うふうに聞こえた。 何かの終わりではなく、何かの移り変わりを告げる合図みたいに。 試しに別の作家の本を開いてみた。 すると不思議なことに、私はちゃんと読み進めることができた。文章はするすると身体に入り、物語は静かにその居場所を見つけた。 だからたぶん、問題は読書ではないのだ。 井戸の水が枯れたわけではなく、ただ今は別の水脈につながっているだけなのかもしれない。 猫は何も言わずにあくびをした。 カッコウはもう一度鳴いた。 私は村上春樹と伊坂幸太郎という二人の古い友人が、古井戸から出て来てもう一度私に語りかけて来るのを 再びムラカミハル期とイサカコウ期が来るのを待つことにした。
