菜実(なみ)熟女図鑑 徳島素人版
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ハルキハラ② 苦手な方は飛ばしてね(笑)
26/06/03 12:36|コメント:2件
台風は夜のあいだに去っていた。 朝、目を覚ますと世界は何事もなかったような顔をしていた。木々は少し疲れて見えたけれど、空は驚くほど青かった。 私は珈琲を淹れた。 豆を挽く音だけが静かな部屋に響く。 窓辺では猫が毛づくろいをしている。昨夜の嵐など最初から存在しなかったみたいに落ち着いていた。 台風のあとには、いつも少しだけ不思議な気分が残る。 何か大切なものを失ったような気もするし、何か余計なものが洗い流されたような気もする。 昨夜読んだ村上春樹の本について考えた。 それは以前買ったもののなかなかページを読み進められなかった物語だ。 壁に囲まれた街と影と金色の毛皮の獣が出てくる。 ページをめくる。 文字を追う。 けれど不思議なことに、物語が頭の中へ入ってこない。 以前なら数行読んだだけで、私はどこか別の世界へ連れて行かれた。 名前のない街や、深い井戸や、2つの月の浮かぶ夜へ。 でも今夜の文字たちは、まるで雨に濡れた鳥みたいに重たく、ページの上から動こうとしなかった。 前に読んだ「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」と何が違うのか? 私にはそれが分からなかった。 もしかすると、物語が頭に入ってこないのではなくて、私の心のほうがどこか遠くへ出かけているのかもしれなかった。 猫は目を細め、そんなことは知っているという顔で尻尾を一度だけ動かした。 私は冷めかけた珈琲を飲み、読みかけのページに栞を挟む。 私のムラカミハル期は終わっていたのかもしれない。 村上春樹を一気読みできなくなる日が来るなんて (-_-;) 菜実です( ´ㅁ` ;)
